学校教員時代、数々のクラスが崩壊していくのを目撃しました。
教員の立場としては、崩壊したクラスの担任や子供たちのフォローで手一杯になりますが、意外と重要なのは、その子たちの保護者かなと思っていました。
学校で、どんなに学級担任以外の教員がフォローを入れても、子供たち一人一人の考え方や捉え方への保護者の影響は強いので、あまり響かないことがあります。逆に、子供たちの一人一人の思いを上手く捉えられるのは、保護者なので、その思いを学校に還元すれば、一旦崩壊したクラスでも、上手く回り出すことがあります。
今回は「元学校教員」の立場から、我が子のクラスが崩壊(?)したら、どのように対処すべきかまとめました。
スポンサーリンク
目次
子供の話をより注意深く聞く
我が子の様子が変だと思ったら、学校での出来事で何か気になる事がないか、「注意深く」話を聞くといいと思います。...と、結構当たり前に感じられることが、意外とできていない家庭が多い気がします。
注意深く...なので、子供から、
・何か困っている事はないか
・困っている事とは具体的に何か
・担任や他の関係する先生をどう思っているのか
・周りの友達の反応はどうか
我が子の主観で捉えている世界のことは一通り聞けると、その後の対応がしやすくなります。
ここで注意しなければいけないのが、
「我が子の気持ちは正しいが、認識や状況把握は疑う」
ことです。子供は実際に起きている事を、自分に有利になるよう大きく話します。親の前では、特にそうだと思います。
子供が話す事を全て鵜呑みにすると、その後の対応策を間違えてしまい、結果として自分の子が不利な立場になることも考えられます。
ですので「子供の気持ちは正面から受け止める」けど「話が本当かどうかは疑う」くらいが、丁度いいのだと思います。
保護者同士で情報交換をする
きっと、真っ先にしていると思いますが(笑)
保護者同士の情報交換は、我が子だけではない様々な子からの情報が集まる点が、良いと思います。我が子が話を「盛っている」可能性がありますので。
だけど、保護者同士の話も疑ってかかった方がいいです。我が子以上に、保護者は話を「盛り」ますので。
「その場の話」として面白いもので終わるのならば、多少盛った話でもいいと思います。この世の会話、全てはそんなもんです。
しかし、現実に我が子や他の子が、学級という空間で苦しんでいるのが「学級崩壊」です。それを改善したいのであれば、より正しい情報収集が必要かと思います。
一通り話ができる保護者から話を聞いた上で、次の対応に進むのがいいと思います。
学級崩壊の3パターンを知る
崩壊には、おおまかに3パターンあります。
・先生の指導が強すぎる→子供がおびえるor反発する→崩壊
・先生の指導が弱すぎる→子供がなめるor相手にしなくなる→崩壊
・一部の子がかき回す→先生がその子の指導に手一杯になる→相手にされない子たちが不満→崩壊
大体、どれかです。
突き詰めていくと、我が子のクラスはどのパターンで崩壊していったのか、おおよその見当を付けると、その後の相談がしやすくなります。
スポンサーリンク
学校管理職やスクールカウンセラーに相談する
様々な情報を集めた上で「やっぱりおかしい」と思ったら、直接担任へ連絡はせず、学校管理職(校長や副校長・教頭など)やスクールカウンセラーに相談するのがいいと思います。
なぜなら、担任に直接話しても「はぐらかされる」のがオチだからです。
学級担任は、基本的にプライドが高いです。それは「自分の学級経営に誇りをもっている」証であり、むしろその誇りがなければ、毎日の激務をこなせません。
学級が上手く回っていればいいのですが、崩壊気味の時はそれが足かせになり、自分の学級の状態をありのままに捉えることが出来なくなります。
当然、外から「先生のクラスは、崩壊してるのでは?」なんて言われても、
「そんなことありません!」と反発されるのがオチです。(面と向かって言われなくても、心の中で反発されます)
ですから、その学級を学校内から、より客観的に見られる人、
・管理職 →直接的な改善効果が期待できる
・スクールカウンセラー →より客観的に事態を把握してくれる
に相談するのがいいと思います。まわりくどいですが、そこから実際の崩壊クラスの改善につなげていくのが、現実的かと思います。もちろん、我が子の困りごとや不満状況も、包み隠さず伝えるのが良いです。
今の学校現場は、こういった「保護者からのクレーム」にとても敏感なので、何らかの対応が期待出来ます。
学級担任を直接責めない...が、基本的な事は聞き出す
「担任はプライドが高い」ということで、クラスの状況について担任を直接責めても、効果は薄いです。
というか、はぐらかされます。なぜなら、そういう対応方法を組織的に学習しているからです。
「保護者からのクレームは、まず『傾聴』次に『管理職と相談』最後に『後日報告』と」
担任に対して「現状への疑問」程度はいいと思いますが、「改善の回答を求める」にしてしまうと上手くいかなくなります。
・学級の現状についてどう考えているのかを質問する
・我が子の気持ちを代弁する
直接的な担任とのやり取りは、その程度にとどめておくのが良いと思います。
子供の前で、学校や担任の悪口を言わない
これ、大切です!
もし学級崩壊の原因が学校の不手際や担任の指導力不足にあるとしても、子供は学校を辞めるわけにはいかず、そして辞める(学校が変わる)にしても、またどこかの学校に通うことになります。
そして、学校(特に公立学校)の人事は1年で大きく変わる可能性があります。仮に今年の担任や管理職などの組み合わせが最悪だったとしても、年度が替われば全く別の人になります。たぶん。
親が思っている以上に、子供は親の影響を受けます。
親が「学校や先生に不信感を抱く」のであれば、子供も間違いなく不信感を持ちます。言葉で伝えられているのなら、なおさら。
でも、子供はこれから数十年、「学校」の中で過ごします。
親が「嫌」と言っている空間で過ごす「自分」
今すぐにではなくとも、いつかそのギャップに苦しんでしまうことがあります。
子供の前では学校や先生の批判は慎む。
我が子の心の安定を望むなら、そんな配慮が必要です。
教育委員会に訴えても、あまり効果はない
最後に、これです。
「教育委員会に訴えてやる!」
そんなセリフが使い回されますが、実際には大した効果はありません。
学校側から見た教育委員会の姿は、また別の記事に書きますが、とりあえずあまり効果は無いと思ってください。1つのクラスの学級崩壊くらいでは。
・いじめ絡みの事件
・学校の不正
そんな「新聞に載りそうな事件」では、通告してもいいですが、1人の親が1つのクラスのことで訴えても、たぶんまともに取り合ってもらえないと思います。
教育委員会の人たちも、忙しいので。
まとめ
学級崩壊の時、親がすること
1 子供の話を良く聞く
2 他の保護者から情報を集める
3 崩壊のパターンを知る
4 学校管理職(校長や副校長・教頭など)やスクールカウンセラーに相談する
5 担任には事実確認だけをする。直接責めない。
6 子供の前で、学校や担任の悪口を言わない。
7 教育委員会に相談しても、効果は限定的
スポンサーリンク
コメントを残す