一般的な大学入試では「小論文試験」教員採用試験では「論作文」といいますが、
「与えられたテーマについて筋道立てて論じる」ことは一緒です。
日本で行われる試験は大きく分けて、
・暗記知識が問われる「知識系」
・論述展開力が問われる「論述系」
・対人処理能力が問われる「面接系」
・実際の技能が問われる「実技系」
の4つに大別されるかと思います。
一般的に「試験」というと「知識系」のイメージが強いですが、大学入試以降では、それ以外の試験方法が多くなっていく傾向にあります。入社試験とか資格試験とか。
全ての型で共通して重要なことは「試験である以上、必ず対策法がある」ことです。
試験を監督するのも、同じ人間です。圧倒的な「神」ではありません。
同じ人間の考えることですから、必ず「ねらい」や「傾向」があります。
小論文・論作文試験といった「論述系」試験は、一見対策方法が無いように思えます。
しかし、これらはやればやるだけ終わりの無い「知識系」試験より、対策しやすいです。しかも簡単に。
今回はその方法をまとめました。
キーワードは「型を覚える」です。
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目次
論述の基本的な構成
論述には基本的な構成があります。
基本的、といってもいくつか種類があるのですが、ここでは一番分かりやすい「3段法」を紹介します。
3段法(序論・本論・結論)が書きやすい
私が勝手に名付けた「3段法」とは、論述全体を「序論」・「本論」・「結論」でまとめる形式です。
小論文・論作文は「論述」ですので、思いついたことをそのまま書く「日記」や「作文」ではありません。当然「詩」でもありません。自分が主張したいことを一定の型に当てはめて書く必要があります。
ですが、型を覚えてしまえば、むしろ何から書いていいのかわからない「日記」「作文」「詩」などより、短時間で文章を書くことができるようになります。
文章を書く、というより「文章を組み立てる」感覚がピッタリです。
序論は「大きなこと」と「さりげない自己主張」を書く
1段階目の「序論」では、まず「大きなこと」を書きます。「大きなこと」とは、
・社会一般の動向
・今話題になっていること
・その業界で問題視されていること
などです。出来るだけ一般的なことを、出所を明らかにしながら書いた方が説得力があります。
例えば、
「昨今の教育業界ではアクディブラーニングの推進が喫緊の課題とされる。米国の〜の研究によると、効果として◯◯が明らかにされている。現状では〜であるが、・・・とされる。」
なんて感じです。今、適当に考えて書いたのですが「それっぽい」でしょ?
その後です!「大きなこと」を述べた後に、さりげなく自分の主張をくっつけます。
先ほどの例に続けると、
「昨今の教育業界ではアクディブラーニングの推進が喫緊の課題とされる。米国の〜の研究によると、効果として◯◯が明らかにされている。現状では〜であるが、・・・とされる。これについて私は〜であるから・・・と考えた。」
これで、自分が主張したいことを「説得力のある感じ」で述べることができます。
ただ、無理してつなげると変な感じになるので要注意です。
自分が「アクティブラーニングの推進」について話したいのに、持ってきた「大きなこと」が
「いじめ問題」では、つなげにくいですよね?
ですので、前もって準備しておく「大きなこと」は、その業界の現状を普遍的に表すものがいいと思います。
教員採用試験では、
・アクティブラーニング(主体的で深い学び)の推進
・学習指導要領の改訂
といったネタが使いやすいのかと思います。
本論は「直列型」か「並列型」に分ける
続くのは2段階目の「本論」です。本論は主に「直列型」と「並列型」に分かれます。
直列型(1→2→3)
自分の具体的な主張を「1」→「2」→「3」とつなげて書いていく方法です。
主に2つのタイプを紹介します。
<仮説検証タイプ>
「自分の主張は〜である」
↓
「これには、◯◯といった利点がある」
↓
「しかし、××といった欠点もある」
↓
「だから、△△のように使っていくことが必要である」
自分の主張を話の中で試していく方法です。主張の利点と欠点をはっきりさせるので、その主張により説得力をもたせて、相手に伝えることができます。
<進行タイプ>
「まず◯◯の行動が考えられる」
↓
「次に△△の行動ができる」
↓
「そして××の行動に移る」
↓
「最終的に〜が達成される」
自分の主張が実行されていく経過を述べた論述方法です。計画でいいので、主張が実行されると◯◯になるという、未来を示して相手を説得する方法です。
他にもタイプはあると思いますが、このように順序良く主張を進めていくのが「直列型」です。
並列型
自分の具体的な主張を「1」と「2」と「3」と並べて書いていく方法です。
この方法は単純で、
「自分の主張は〜である。これには3つのやり方がある」
↓
「1つ目は◯◯である」
↓
「2つ目は△△である」
↓
「3つ目は××である」
↓
「この3つの方法を用いることで、私の主張〜が達成される」
というやり方です。
教員採用試験でよく出題される「いじめの防止策を述べよ」に、これを当てはめると、
「いじめ防止には学級の雰囲気を良くすることが必要である。その為に3つのことをする。」
↓
「1つ目は、担任が笑顔を絶やさないことだ」
↓
「2つ目は、遊びを取り入れて子供たちの気持ちをほぐすことだ」
↓
「3つ目は、子供の誕生日をみんなで祝うイベントをすることだ」
↓
「この3点を実行することによって、いじめが起きない雰囲気の学級がつくれると思う」
...といった感じでしょうか?
話の中で「実験」をしなければいけない「直列型」より、ただ要素を並べればいい「並列型」の方が使いやすいかと思いますので、まずはこちらの型を覚えて、何度も書いてみることをオススメします。
「直列型」と「並列型」に優劣はありませんが、より高度で、かつ説得力が増すのは「直列型」です。何度か書いてみて慣れてきたり、自分が得意なテーマが見つかったりしたら、ぜひ「直列型」に挑戦してみるのもいいと思います。
この「本論」を構成する力が、論述系試験対策の要です。はっきり言って「序論」と「結論」はおまけなのですから。
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結論は「自分の意志」を書く
ここまできたら、もう一息です!
「結論」では、自分の意志を書きます。
「序論」で話した大きなこと、それに対応するために「本論」で考えたこと、
それをどのように受け止めて、自分は実行していくのかを「熱く述べる」のが結論です。
「いじめの防止」がテーマだとします。
「序論」でいじめ問題の現状を書き、
「本論」でいじめ防止策を書きます。
そして「結論」では今一度いじめ問題を振り返り、自分の防止策が妥当であることと、職についたら全身全霊をもってこれを実行していく!...なんてことを書くといいと思います。
ここまで来たら、最後は勢いです。
読み終えた採点者に「この人は本気だな」と思わせたら勝ちです。
「序論」と「本論」は、出来るだけ感情を抑えて客観的に書いた方が良いですが、
「結論」はそこまで抑えていた感情を爆発させる!との気持ちでいってみましょう。
結局は、自分の思いを伝えることが大切です。
「型」を覚えたら使いこなす!
型を覚えたら試験で過去に出題されたテーマについて、実際に書いてみることです。
何度も何度も書いてみて、型を自分の体になじませてください。
考える必要はありません。
「自転車に乗る練習」と同じです。転んでも何度も起き上がって、繰り返し、体で乗り方を覚えてください。
全体の割合として
「序論」15%以下
「本論」70%以上
「結論」15%以上
といった割合が良いバランスかと思います。
「序論」が長過ぎると「お前の言いたい事は何なんだよ!」となり、
「結論」が長すぎると「わかった!わかった!」となります。
やはり、本丸は「本論」です。ここで如何に具体策を述べられるかで、勝負が決まります。
あと、書いたものは誰かに読んでもらうのが望ましいです。
友人同士でも構わないと思いますので、読み合う仲間も探してみてください。
出題されるテーマについてまとめる
「型」が自分の体に馴染んだら、あとは出題テーマについてまとめるだけです。
教員採用試験では、
・学力向上
・いじめ問題
・学級経営
・英語教育
・保護者対応
・特別支援教育
・アクティブラーニングの推進
・学習指導要領の改訂
...といったテーマがおなじみでしょうか?
奇抜なテーマは出ません。毎度おなじみのテーマが「若干、言葉を変えて」出てくるだけです。
出題される可能性のあるテーマについて、一通り論述練習をしておけば、それで十分です。
時間がなければ「プロット」だけまとめておくのでも、効果的です。
序・いじめ問題は児童の学習環境が原因
本・学習環境を整えるこつ ・笑顔 ・あいさつ ・認め合い
結・教師が率先して環境をつくる ・自分はいじめを撲滅する覚悟である
...といった感じです。ちなみに私が以上の「いじめ論述プロット」を5秒で考えつきました。私がスゴいのではなく「ほとんどのテーマには、妥当性のあるプロットがある」ということです。
論述で奇抜なことを書く必要はありません。
当たり前のことを、当たり前のように、整然と述べればいいだけです。
まとめ
基本的な小論文・論作文の書き方
1 3段論法(序論・本論・結論)を使う
2 序論は「大きなこと」と「さりげない自己主張」
3 本論は「自己主張の具体例」
4 本論は「直列型」と「並列型」
5 結論では「自分の熱い思い」を
6 論述対策は、繰り返し練習して「型」を覚えることが全て
7 出題されるテーマをプロットにまとめておく
論述系試験には「確かな答え」はありません。
「妥当性のある話を、一定の型にそってまとめているか」それが採点基準の全てです。
研究論文ではないので、新しいこと、奇抜なことを書く必要はありません。
ですから、体で覚えるのが対策の王道であり、近道であり、唯一の道になります。
やればやっただけ、自分の力になります。面倒ですが、がんばってください!
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