一口に「学校の先生」といっても、校種でまったく職の雰囲気が異なります。
この記事で扱う「校種」は、
・小学校
・中学校
・高等学校
の3つです。
法律上「学校」となっているものには、他にも、
・大学
・短期大学
・高等専門学校
・中等教育学校
・特別支援学校
・幼稚園
などがあります。おなじみのものから、聞き慣れない「高等専門学校」や「中等教育学校」がありますね。
全ての校種には触れられないので、今回は、小学校・中学校・高校の3つの校種について、働き方や雰囲気の違いをまとめました。
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「学級担任」の小学校
小学校といえば「担任の先生」です。
小学校は原則的に学級担任制ですので、子供たちは「◯年△組」に属し、担任教員の授業を受けます。授業も行動も、そのクラス単位で行われます。
小学校の先生が中学高校の先生と大きく違う点は「全科担任」ということです。つまり、小学校教育に関わる科目は、全て教えるということです。
免許も【小学校教諭1種免許「全科」】と、全ての教科を教えることが前提となっています。逆に言うと、全て教えるつもりが無い人「自分の専門は国語だから、国語だけやっていればいい」なんて人には、向かないかもしれません。
自分が好きな科目、大学で専攻してきた科目が「社会科」だったとしても、勤務先の学校が「国語」に力を入れていたら、自然と「国語」の研究をしていかなければなりませんので。そこが「先生」であっても「組織人」の辛いところなのですが...。
また、もう一つ「学級担任」をすることが前提なのも、中学・高校の先生と異なります。
中学・高校でも学級担任にはなりますが、ホームルームと自分が教える教科での関わりしかありません。「女性の保健体育教員」だったら、自分のクラスの男子とは授業ですら会わないこともあります。
しかし、小学校の先生は自分が受け持つ学級と「密」に関わります。文字通り四六時中。そこで求められるのは「学習指導」だけではなく「生活指導」の力です。子供たちの生活全般を見て、より良い方向に導く力が要求されます。
また「学級経営能力」も試されます。どこまで学習指導が上手で、生活指導に熱い思いがあっても、学級をマネジメントする力が無い教員は、クラスを崩壊させます。子供たちが担任に付いて行けなくなるので。
まとめると、
・小学校の先生は「学級担任」が前提。
・「全科」指導なので、全ての教科を教えることになる。
・生活指導も重点的に行う。
・学級経営能力が試される。
『零細企業の経営者』的な雰囲気が、小学校の学級担任にはあります。
ただし、学校は様々な人たちが働く場ですので、学級担任の先生以外も働いています。
「教科」と「生徒指導」と「部活」の中学校
中学校は「教科担任制」ですので、自分が受け持つ教科を教えることがメインになります。
教科担任制の良い点として、小学校教員の視点から考えると、
・自分の専攻教科の指導技術を極めていくことができる。
←小学校は興味のない授業も、時に専攻しなければならない。
・好きなことを授業にできる。
←小学校は苦手なことも教えなければならない。
・授業準備が限定的(使い回しができる)
←小学校はどれだけ準備しても、基本的に1回しか授業できない。
こう書くと、小学校に比べて中学校の先生の方が楽で楽しそうな気がします。
ですが、現実はそう甘くありません。
文部科学省が発表した「教員勤務実態調査(平成28年度)」によると、平均的な勤務時間は中学校の先生の方が多いことが分かります。
そして、小学校と中学校の先生同士の勤務時間を比較する上で重要なポイントは「土日出勤の有無」です。中学校の先生の方が、土日出勤の時間数が多いです。
そう、部活動指導です。
これが、中学校の先生を苦しめています。詳しくは、
また「生徒指導」の負担も大きいです。
中学校生活の3年間は「第二次性徴期」に当たります。12〜15歳前後で心と体が子供から大人に変化する時期のことです。
子供たちも、日々変わっていく自分の心や体を受け入れる余裕が無く、一見すると意味不明な行動を繰り返してしまいます。「反抗期」とも言われますね。
中学校の先生は、その立場上、秩序を維持する側ですから、一人一人の子の気持ちが分かっても、見逃す訳にはいかなくなる場面が、どうしても出てきてしまいます。
しかし、無理に指導をすると、生徒から反抗されて...。
先生も、子供たちとの距離感に日々悩みながら指導をしています。
以上、まとめますと、
・教科担任制なので、授業自体は(小学校に比べれば)負担が少ない。
・ただし、定期テストの作業がある。
・部活動指導は休日も行うことがある。
・生徒指導は、全ての校種の中で、一番大変。
中学校の先生の大変さは、教科指導以外の部分「部活」と「生徒指導」の負担が大きいこと、それに尽きるのかもしれません。
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より高度な「教科指導」が求められる高校
「教科担任制」である。「生徒指導」や「部活動指導」がある。
...ということで、なんとなく中学校に近い雰囲気がある高校。
しかし、先生の仕事として中学校と比較すると、異なる面が多くあります。
・専門教科について、より高度な知識が求められる。
・「地理」「政治経済」「物理」「地学」など、科目ごとの教員採用になる。
→中学校は、もっと大きく「社会」「理科」という区分。
・設置者が「市区町村立」より「都道府県立」が一般的になる。
→採用試験も異なる場合が多い。
・学校数がより少なくなる。【学校数】小学校>中学校>高校
→つまり、採用される人数も限られてくるので、試験がより激戦になる。
・ライバルが学校の先生だけとは、限らなくなる。
→有名予備校講師とも、指導力が比較されてくる。
...ざっと、まとめてみましたが、より「プロの学習指導者」としての面が期待され、評価されてくる職と言えます。他の校種の先生に比べると。
また、学校によって「カラー」がはっきり分かれてきます。
「◯◯県NO1の進学校」と「◯◯工業高校」では、生徒の状況も違ってくると思います。学習への意欲や、進学指導メインなのか、実技指導メインなのか。
「高校の先生」としては同じですが、自分の勤務校によって、指導内容を変化させていく必要があります。これは、どこで勤務しても子供の質がほぼ同じ(若干は異なるかもしれませんが)「小学校」「中学校」とは、大きく異なる点です。
まとめ
小学校 →全ての教科を教える。学級での生活指導や学級経営能力が求められる。
中学校 →専門教科を教える。生徒指導や部活動指導での負担が大きい。
高校 →より高度な専門教科の知識が必要。勤務校によって、状況が大きく異なる。
校種によって、それぞれに個性があります。一概に「先生」といっても、その学校ごとに求められるものが変わってきます。
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